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彼地。

 そこでは、あらゆることが可能である。人は一瞬にして、氷雪の上に飛躍し、大循環
 の風を従えて、北に旅する事もあれば、赤い花林の下を行く蟻と語ることも出来る。
 罪やかなしみでさえ、そこでは聖く、きれいに輝いている。
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と、ともだちに、宮沢賢治の文章を電話口で朗読したあと、
「<罪やかなしみでさえ、そこでは聖く、きれいに輝いている>、そんな場所が、この世に存在することを赦していた、賢治のおおきさに比べたら、僕の胸にひっかかっていることなんて、とてもちっぽけなことだと思う」
とその“胸にひっかかっていること”の詳細を吐露してみた。
「たとえば、愛するひとのために死ねる感情って、自分の命をそのひとに托すことだと思うんだよね」
というともだちの死生観に、
「うん、ふたりでひとりなわけだしね」
と何の疑いもなく応えた自分に、ふと、“罪やかなしみ”が“きれいに輝”く場所のあることが、救いのように思われました。
「死」を迎える状況は、さまざまにあるわけだけど、でも、それ自体は人間中心の生命観であって、「命」そのものの理解ではないよね。
だから、ともだちに、“罪やかなしみ”が“きれいに輝”く場所で結ばれた友情譚について触れてみた。
「でも、この場所は、きみ以外の誰にも教えてないし、教えたくないんだよね。だって、きみは大切なともだちだから」
と、その場所の在処をそっと教えた。。。
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by viola-mania | 2008-11-09 07:36 | 雑感


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