厚いカーテンに閉ざされた、電気も火もはいっていない、明方の書斎へ、靴下を取りにゆきました。
はい、クローゼットは書斎にあるのです。 ふと、書棚に収まりきれず、床の上、幾重にも積まれた本の寝息を聴いたような、或いは、犯してはならない領域に、踏み込んだかの心地がしました。 少女とはおそらく、、、厳密な論理の支配下、明澄な知性の君臨する保護領で、冴え ざえとしたよろこびのまなざしに支えられてこそ、もっとものびやかに精彩を発揮す るにちがいない、可憐な生きものなのである。 少年を想うとき、それが、普遍的な「美」に適う造型を持った、いわゆる「美少年」と呼ばれる怪物であればあるほど、その裡(うち)に少女の姿がちらついてしまうというのは、どういった理由からでしょう。 とはいえ、上記に引いた、矢川澄子の「不滅の少女」の一節にある、少女を少年に置き換えてみたところで、何ら違和感のない、自分の感性のなかに、その理由を見い出せるような気もします。 また、「美少女が少年に扮したような」という形容を、昭和初期の挿画家、高畠華宵描く少年に冠した讃辞として、よく目にすることがありますが、存外、そんな形容のなかに、すべての答えが集約されているのではないかとも思うのです。 明方の書斎。 “犯してはならない領域に、踏み込んだ”とき、その硬くて脆い玻璃のような存在である怪物の姿が、パンセとなって、その場所を横切ってゆきました。
by viola-mania
| 2006-12-31 00:09
| 少年
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いい匂いのするペエジ
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