<   2009年 06月 ( 5 )   > この月の画像一覧

青脚。

きのうの日中は、約1時間をかけて駅に着き、それでも行ってしまったばかりの電車を待って、目的地である横浜に着いたのは、家を出てから2時間あとのことでした。
待てど暮らせど来ないバスの到着に、なかば、ゴウを煮やすかたちで、いっかな点かない、その停留灯をにらんでいたら、
「もう、バス来る?」
と蝶のように飛来した? 少年から訊かれ、
「うん、そろそろ」
と応えてみるも、その定刻からユウに10分は過ぎていました。
タメグチで問い続ける少年のそれに、どちらが少年であるのか? といった実直さで応えているうち、その少年は、ふたたび、蝶のように飛翔しました。
さて、ようやく到着したバスの車窓から、通りを歩く少年に手を振り、その滑走に優越を感じていたのもつかの間、乗り込むひとの多さと渋滞に、どちらが蝶であるのか? といった閉息を感じました。


 「青ぞらの脚」といふものひらめきて監獄馬車の窓を過ぎたり   賢治

*画像、青ぞらの脚。
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by viola-mania | 2009-06-28 17:23 | 少年

大船。

ユッキーこと三島由紀夫が、二十八歳で書き上げた長篇、『禁色 第二部 秘楽』(昭和28年)を読んでいたら、絶世の美青年としてこの物語に登場する南 悠一と、彼を傀儡(くぐつ)のごとく操る老作家、檜 俊輔とが、その年、横須賀線の車窓から見た「大船観音」を書いた、
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 電車は大船に着いた。二人は駅のむかうの山あひに、うつむいてゐる高い観音像の項(うなじ)
 が、煙つた緑の木々を抜きん出て、灰色の空に接してゐるのを見た。駅は閑散である。



こんな描写に、近くにいらっしゃいながら、一度も詣でたことのなかった大船観音寺へ、その観音さまを見に行きたくなりました。
ところで、観音像の竣工は、昭和35年ですが、その着工は、それを遡ること30年前。
工事が着手されたその年、昭和4年は、世界大恐慌のさなかにあり、そんな世相のなかで、観音像を建立するべく寄付金集めは困難を極めました。
そんなわけで、その五年後、観音像は未完成の状態で工事を中断、そのあとに起った戦争を眺め、敗戦したこの国の経済が持ち直し始めた、昭和30年まで、工事の再開を待たなければなりませんでした。
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さて、こんな事情を、ユッキーの書いた「大船観音」の描写に照らすと、悠一と俊輔、否、彼が見た観音さまは、白衣(びゃくえ)をまとった、いまのお姿のものではなく、未完成の状態で放置されていた「大船観音」ということになります。
そんな観音さまをひとわたり眺め、大船駅からバスに乗って鎌倉駅へ戻ると、この「大船」という駅が、ユッキーの描写どおり、疾うから“閑散であ”ったということがわかりました!!
とはいえ、市民にやさしい大船が、そんなところも含めて大好きです。
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*画像、大船観音はいいぞ!!
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by viola-mania | 2009-06-28 00:44 | 文学

聖草。

花が終わり新たな芽を伸ばし始めたオールド・ローズの剪定(せんてい)がてら、ただでさえ小さな庭を狭めるように生え始めた雑草を刈りにかかりました。
長さを調節することで、全長が2メートほどにもなる植木鋏(ばさみ)を、いましがた枝を伐り終えたヒイラギの根方に置くと、こんどは、その枝から放射状に伸びている茎を剪定鋏で落とし、ポリ袋へ、、、
はて、粉をふいたブドウのような、ヒイラギの実が目につきました。
たわわに実ったそれを、ポリ袋にいれてしまうのがもったいなくて、実だけを集めたブーケ? をつくってみました。
部屋のどこかに置いておけば、案外、魔除けになるかもしれません。
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さて、刈った草や葉をいれたポリ袋の口を結わき、ふと、空を見上げると、ひと雨きそうな気配。
そんな鉛色した空の下、聖ヨハネ草の黄色い花が、ことしもひときわ鮮やかにひらいています。


 聖ヨハネ草:
 学名ヒュペリクム・ペルフォラートゥム[Hypericum perforatum]、山野に自生する多年草で、葉
 は単葉対生、夏から秋にかけて五弁の黄色い可憐な花を咲かせ、茎の高さはほぼ一メートルに達す
 る。聖ヨハネの名が冠せられているのは、イエス・キリストより半年早く生まれた洗礼者ヨハネの
 生誕日を祝う聖ヨハネ祭、つまりは夏至の祭り(六月二四日)で重要な役割を担う野草の一つだか
 らである。「ペルフォラータ」というラテン語名は、字義的には「孔のあいた」という意味であ
 り、葉面上に数多く分布する細かい透明な油点(日本に自生する種は黒色を呈する場合が多い)が
 孔に見えるところから付けられたものである。この薬草がもつ悪霊除けの効能を恐れた悪魔が悔し
 まぎれに針で開けた穴の跡、という伝承がアルプスやチロル地方に残っている。また、葉上の油点
 や根にある赤い点は、洗礼者ヨハネ斬首の際の血しぶきとも、十字架上のキリストの血の滴の跡と
 も伝承されている。

                   パラケルスス「聖ヨハネ草について」(岡部雄三訳)より



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オールド・ローズに、その座を譲られたかたちで、この「聖ヨハネ草」が、我が家の小庭の一角を領しています。
そんなわけで、“悪霊除け”との伝承もあるこの薬草を背景にいれた写真をパチリ。
一足早い、“聖ヨハネ祭”を、雲と雲の合間に覗いた太陽の下で行ってみました。
いまは、もう、暗い庭。。。
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*画像、上、ポリ袋へ、中、聖ヨハネ草、下、ことしの夏も乗り切れそう。
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by viola-mania | 2009-06-21 23:25 | 雑感

開通。

二日前から使用を自粛していたキッチンの流し場も、日中、大家さんが手配してくれた排水工事作業員のおかげで、すっきり開通。
ガタイもカンジもいい兄貴系の作業員と、その都合上、作業につき合わざるを得なくなったこちらの隣で、何だか応答のないもうひとりの作業員とは、なかなかどーしていいコンビネーションでした。
とはいえ、さいしょ、その作業員の態度と気転の悪さに、
「そこから沁みてきてるんだから、事前にぞうきんを置くなり対処してくれよ!! そんだけ水出してんだからさ」
とよっぽどいってやろうかと思ったけれど、いわずにおいてよかったと、そのあとのふたりのやり取りを、隣の部屋で聞きながら、ほっ!! と胸を撫で下ろしました。
どーやら、兄貴系の作業員は、その作業員の性格を把握した上で、ことを穏当に運んでいるらしいのです。
つまり、その作業員のこちらにはわからない何かを認めているのでしょう。
そんな空気が、この対極的なふたりの作業員の間合から感じられました。
だから、
「作業終わったら声かけてください」
といって、早々に、隣の部屋に引っ込んだことは、正解でした。
「お疲れさまでした」
と作業を終えたふたりを玄関先で見送ったとき、兄貴系の作業員の変わらぬカンジの良さの隣にあったのは、意外にも、その作業員の優しい笑顔でした。
そんなわけで、こちらとその作業員の間でも、何かが開通したようです。。。
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*画像、水を連想させる植物、水妖花(ヒドランゲア)。
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by viola-mania | 2009-06-14 00:35 | 雑感

書庫。

カリマーのディバッグから、赤ワインとチーズとワイン・オープナーを取り出すと、
「これ、一緒に呑もうと思って♪」
と小難しい書物が載ったテーブルの隙(ひま)にそれらを置き、
「さて、空になったバッグに、何をいれて帰ろうか!?」
とセンセイの書庫に、城壁のごとく積まれた書物の山を崩しにかかりました。
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それにしても、こちらとは明らかに違う読書傾向と、その積まれ方のプロっぽさ? に、オトナの書斎とコドモの勉強部屋ほどの違いを、歴然と見せつけられたような気がしました。
さて、そんな書物の山から引き抜いたのは、
「ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件」橋本 治
「賭博/偶然の哲学」檜垣立哉
「泣菫随筆」
そのうち、『泣菫随筆』は、それが、きょうの書庫探訪のきっかけとなった一冊で、帰りしな、もらったその一冊と、借りた二冊の書物をバッグにしまっていたら、
「冨山房百科文庫から、このひとの<茶話>が出てるんだけど、駅前の本屋にあるから見に行こ!!」
といわれ、センセイの気遣いを、見送りというかたちで、ありがたく受けました。
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そんな、センセイの書庫にいとまを告げると、蛍光灯の明るみのなかで見たセンセイの姿が、かって、きょうのように書斎を見せてくれた、ある大学生の姿と重なりました。
こちらが、まだ、少年だった頃の甘やかな、否、書物の隙(ひま)から立ち上ぼる、かび臭い記憶です。
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*画像、上、城壁のごとく積まれた書物の山、中、下駄の響きも朗らかに、下、センセイが組んだ冊子。
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by viola-mania | 2009-06-07 23:18 | 少年