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笑造。

秋の花粉に対するアレルギーを発症して以来、冬の低温症と、そして、ことしこそは、春の花粉にも悩まされそうな予感に、いよいよ外せなくなったマスクの下で、最近、秘かに「笑顔のつくりかた」を勉強しています。
きのうなんかも、電車のなかで、疲弊した頭をコックリさせていたら、はや、車窓の向こうには「上野」の文字。
ふたたび、頭をコックリさせたら乗り過ごしてしまいそうな勢いに、戸口の上のモニターを、もはや、使い物にならなくなった目で眺めていると、画面は、「笑顔のつくりかた」を教示し始め、思わずマスクの下で、イーとかウーとかやっているうちに、いつしか、眠気も覚めていました。
ところで、おとついきのうと仕事をご一緒した、編輯子のMさんは、笑顔が素敵なおぢさまで、そのチャーミングな人柄に接するたび、自然と笑顔が、このマスクの下に出来上がっているから、アラ不思議。
なるほど、「笑顔」って、つくるものではなく、なるものなのだと、笑顔率? の高いひとのかたわらで、その横顔を眺めつつ思いました。。。
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by viola-mania | 2009-02-22 21:37 | 雑感

華客。

「あなたのいない右側に♪」
などと思わず口ずさんでしまった、このたびの出店ブースは、「ファンタジー」。
そんなわけで、ひとりで参加するイベントは、このうえなく心細い。
とはいえ、「ファンタジー」といったカテゴリーに対する先入観がそうさせたものか、両隣りのひとたちの柔らかい笑顔に、マスクの下の頬も自然と弛んでゆくのでした。
開場とともに来店したいちげんさんの女性に、ついで来店したリピーターの男性に、それから、思いも寄らずにお越しいただいた編輯子のMさんに、おまけにお隣さんにも、それぞれ新しい『薔薇窗』をお買い上げいただくと、
「案外、ファンタジー・ブース、いけるんちゃう!!」
といつもの調子に乗ってけてけてけといったところ。
「それにしても、、、」
と足元のカバンに目をくばせると、ふたりの同人、Hさんと、ほんじつが初対面となるHくんへ差し上げようと持参した、『ヒアキントス』(タブロイド)のバックナンバーをいれた茶色い封筒が目につき、これも、昨年、この「スミレノオト」を読まれてお越しいただいた小鳩さんへ差し上げようと持参した、『スミレ日誌・抄』(私家版)をいれたビニール袋が目につきました。
「はて、来てくださるかしらん」
と思っていた矢先にあらわれた小鳩さんに、これも新しい「蛇腹本」をお買い上げいただきながら、チョコレートをいただいてしまった、きょうはバレンタインデーの翌日。
そんでもって、閉場1時間前にあらわれた、ふたりの同人、HさんとHくんとは、イベントが退けたあとの2時間あまりを、ビッグサイト内のコンコースに設けられたベンチに座って過ごし、Hくんから送ってもらった彼の修士論文をひらきつつ、三人で輪講。
「<薔薇窗>を始めて、14年になるんだけど、そのどこで子供と大人がすれ違ったのかが、よくわからないんだよね」
とこの若き精鋭たちを双方に仰ぎ見つつ、ふと、そんな感慨をもらしていました。

*画像、きょうはバレンタインデーの翌日。
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by viola-mania | 2009-02-15 22:58 | 雑感

告知。

自主制作漫画誌展示即売会 COMITIA87

日程:2009年 2月 15日(日) 11:00〜15:30
場所:有明・東京ビッグサイト東1ホール
   (JR「大崎」orJR・地下鉄「新木場」〜りんかい線「国際展示場」下車8分)
   (JR「新橋」〜“ゆりかもめ”で約25分「国際展示場正門」下車2分)

スペースNo.と30a 書肆菫礼荘

↑こちらに出展しています。ぜひ、遊びに来てください。
また、当日は、耽美文藝誌「薔薇窗」19号(最新号)、蛇腹本「郁乎隔(いくよへだてつ)」
(新刊)他を販売いたします。
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by viola-mania | 2009-02-15 15:30 | 告知

隣家。

この土地に古くから住む、我が家とは庭続きではないお隣さんと、ことばらしいことばを交わしたのは、はじめてのことでした。
「この八段ある塀のうち二段を壊させてもらいます、、、市の条例で、六段以上積んではいけないことになっていますので」
というご主人とは、一時期、同じバスに乗り合わせたことがあったけれど、その朴訥とした見かけどおりのアルトは、夕闇につつまれたご主人の姿と相まって、オイラに、大樹のような強い存在感を与えました。
一方、奥さんのほうは能弁なソプラノで、その塀を取り壊すといった我が家との垣根を越えて、近く、娘夫婦と同居すること、それについては、家を建て直し二世帯住宅にすることなどの諸事情を、そのかたわらで大樹ぜんとしているご主人の枝に止まり、歌うように語っていました。
「で、工事はいつまでなんですか?」
「10月までの予定です」
といって薄暮の情景のなか、それだけがひときわ目を惹いていた、黄色い小さな包みをオイラに手渡しながら、
「これ、つまらないものですけど」
との義理立てを、オイラにお仕着せるのでした。
とはいえ、この夫婦の申し立てに、意義などあろうはずもないオイラは、その仕着(しきせ)に袖を通しつつ、これまで、顔を合わせていながら、そのタイミングを逸し、挨拶ができないでいたことを詫びたのです。
長らく隣に住んでいながら、ただの一度も挨拶をしなかったことは、オイラの理屈に適った方便であるのですが、やっぱりそれでは、ひととして重要な欠陥があると感じたからでした。
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それから二週間あまりが過ぎ、、、
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隣の家がなくなり、新たな家屋が建つまでのつかの間、思いもよらずにもたらされた、この日当りと見晴らしは、いったい、、、
これまで、そんな天よりの恵み? があったことを、知らずに暮らしてきたオイラは、でも、そのことを尊ぶよりも、その家屋がなくなったことで、外からの風当りと見晴らしとを、気にしなければならなくなった、築50年にもなる我が家と、その浅茅生(あさじふ)を、うとましく感じるのでした。
「すみませーん!!」
と外からの呼び掛けに、玄関先へ出てみると、八段あったブロック塀は、その半分を残し取り壊されていて、ついで、
「壁を壊したとき、自転車も壊しちゃいまして、、、」
と前輪のスポークを示しながら、その申しわけをしている作業員に、でも、悪気があってそうしたわけでもあるまいと、しばらく乗らないうちにすっかり錆びついてしまった自転車と、作業員の顔をとみこうみしながら、
「走れるようにしてもらえればいいですよ」
と我ながら寛容な態度。
とはいえ、錆ついた自転車を目の前に、強い態度をとれなかったというのが、実際のところでした。
はたして、錆ついているのは自転車だけでしょうか、、、
と散髪のおり、その店のご主人との会話のうちに、そんなことを考えました。
「でも、そーいう家って、或意味、この町の文化だぜ」
というご主人のそれに、隣の家屋なきあと、そこにぽつねんと佇む、我が家と、その“浅茅生(あさじふ)を、うとましく感じ”ていた気持ちが、少し晴れたような気がしました。
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*画像、上、解体工事が始まったお隣を小庭越しに臨むの図、中、日当り、見晴らし、ともに良好、下、村井さんのヘルメット。
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by viola-mania | 2009-02-08 11:29 | 雑感

立止。

仕事帰りに立ち寄った古書店の店先で、『朝日新聞の用語の手びき』を見かけました。
そのこぶりな判型に気持ちが揺らぐも、買ったところで、20数年前の用語辞典など、使えるべくもありません。
それに、財布から小銭を出すのも、少し億劫。
とはいえ、100円ならば悪くない買い物だし、この手の辞典を集めている、編輯子Mさんとの話の種にもなろうというもの。
そんなわけで、神田教会の前で立ち止まると、いま来た100メートルあまりの道を引き返し、その用語辞典を買いに戻りました。
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 われわれにとって確実性の根拠になるのが経験であるとすれば、それは勿論過去の経
 験である。
 そしてそれは単なる私の経験といったものではなく、私の知識の源泉である他人の経
 験なのだ。


この薄くなった金文字を、指先でなぞっていたら、ウィトゲンシュタインのこんな一文が思い出されました。
ウィトゲンシュタインは、『確実性の問題』のなかで、我々が何かを「知る」という過程は、「信じる」と同義であるといっています。
つまり、「知る」ことは「信じる」こと抜きには成立しないし、その反対もまた、しかりであると、、、
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 ひとは言うかもしれぬ。われわれが他人を信用するようにさせるのも、やはり経験で
 はないか、と。しかしどんな経験が私に、解剖学や生理学の教科書に嘘が書いていな
 いと信じさせるのか。もっとも、この信頼もまた私自身の経験によって支えられてい
 る、ということは正しいのだが。


いまは使えなくとも、かつてそれを使っていたひとの経験を支えていた、この用語辞典を手に取り、「知る」ことは、“私の知識の源泉である他人の経験”を「信じる」ことなのかもしれない、、、
などと、立ち止まって考えてみます。
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*画像、上、如月を見下ろす、中、薄くなった金文字に立ち止まる、下、如月を見上げる。
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by viola-mania | 2009-02-01 09:45 | 雑感