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盗心。

歌人、結崎剛さんより、「睾丸船」なる個人通信紙にて発表された訳詩が届くようになったのは、そのかみアルチュル・ランボオが、その三年間という短い詩人生命において、一篇の詩もつくらなかった、閏月始めのこと。
手許にある、改造文庫『ランボオの手紙』(昭和15年刊)の巻末に附された「作詩表」を見る限り、1870年3月からその年の10月までと、翌年は、1月に一篇の詩をつくったものの、その年も3月から10月までと、季節でいえば、ランボオの作詩は春から秋までと、この放浪詩人は、その所行のゆえか、冬は巣籠るらしいということがわかります。
ちなみに、その後の二年間に発表された「レ・ジルミナシオン」や「地獄の季節」も、前者の作詩月は断定されていないけれど、後者のそれは、ランボオが作詩を断ったその年の4月から8月までと、これも春から秋までとなっています。
ところで、結崎さんが、個人通信紙(第三号まで発行)で発表された訳詩というのは、ランボオの三篇の韻文詩で、その創刊号では、「盗まれた心」と訳されることの多い、「持ってかれた心臓」を発表されているのですが、手許の『ランボオの手紙』のなかに、この詩を添えた、ジョルジュ・イザンバアル宛の手紙があって、そのなかでランボオは、


 これを、貴方が申されるとすれば、諷刺でせうか? 詩でせうか? いや、何時もなが
 ら、幻想なんです。でも、後生です、鉛筆でアンダラインを引いたり、考へ込むだ
 り、なさらないで下さい。


とこの詩を読むにあたって、注意を促しています。
このことは、手紙の文面からもわかるように、主観的な詩しかつくれない受け取り主、或いは、往時の文壇に対する挑発とみることができるのですが、それは、ランボオの「あらゆる感覚の不覇奔放から未知のものに達したい」という一文にも顕著です。
また、この詩の犬儒的な告白によって、ある批評家は、この詩が、ランボオの童貞説を覆すものだとしています。
とはいえ、ランボオほど、犬儒主義(シニスム)から遠ざかっていた作家もいないでしょう。
なぜなら、ランボオの作詩は、自らの官能装置に働きかけるきっかけでしかなかったのですから、、、
つまり、自分ひとりが発情しているに過ぎなかったというわけです。
それはさておき、『ランボオの手紙』の訳者、祖川孝訳による、「盗まれた心」より、第二節を引いておきます。


 バッカスの男根じみた 道楽者の
 彼等の駄洒落が おれの心を堕落させた。
 バッカスの男根じみた 道楽者の
 壁画が 舵のところにほの見える。
 おゝ あな不可思議な波濤どもよ、
 私の心をかいさらつて 洗ひそゝげよ。
 バッカスの男根じみた 道楽者の
 彼等の駄洒落が おれの心を堕落させた。

*画像、官製はがきによる、結崎剛さんの個人通信紙「睾丸船」1〜3号とランボオ18歳の肖像。
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by viola-mania | 2008-02-24 13:59 | 文学

空想。

机上でしたためた想い、或いは、たんに用件を記しただけの文(ふみ)であっても、封緘をして、切手を貼り、ポストに投函すれば、それを宛てられたひとの手許、もしくは、こころに届くというのが、手紙の効用であり、はたまた、任務でもあるのですが、いまのように、インターネットやそれが手紙であっても、海の向こうに住むひとへの私信が、まだ、難儀を要していたころは、やっぱ、船便だったのかしら?
などと、たまたま、インターネットで見つけて買った、およそ、100年近くも前のエアメール・セットを手にしたとき、ふと、そんなことを考えました。
ところで、エアメールを届けるのに、必要不可欠な飛行機がつくられたのは、このエアメール・セットが、フランスのどこかの店で売られていた、何十年か前のこと。
「空中飛行を一言にして云えば、吾々の此(こ)の平面の世界を立体にまで拡張せんとするの努力である」とイナガキタルホは、新文明の先駆的存在としての飛行機に、そんな一家言を吐いているけれど、このことは、飛行機とともに空を飛び、それを宛てられたひとの手許、もしくは、こころに届けられる、手紙にもいえることではないでしょうか。
とはいえ、100年近くも前のエアメール・セットを手にしたところで、どうしよう、、、
黄色く焼けた便箋を眺めながら、途方に暮れています。
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by viola-mania | 2008-02-17 19:40 | 雑感

実実。

さて、イベント(コミティア83)当日。
前日の天気予報で危ぶまれていた降雪も、良い方にその予報がはずれ、定刻通り到着したバスと電車とを乗り継ぎ、難なく会場いりを果たしたものの、
「はて、ブース・ナンバー、何だったけ!?」
と本気で失念。
浅い記憶を頼りに、席次を辿るも、すでに、陣取られていたそのブースに、我ながら、モウロクしたものよのお〜、とひとりごつ。
結局、持参の「参加登録カード」に記した、ブース・ナンバーをあらため、ようやく、出店ブースに辿りつけたといった、段取りの悪さ。
お手伝いにはいってくれた、イラストレーター、櫂まことさんには、でも、浅い記憶を頼りに辿った席次を、会場してすぐにもらった櫂さんからのテルにてご報告。
誤ったブース・ナンバーを探していた櫂さんとは、でも、難なく落ち合うことができたという、何とも皮肉なオチがついて、このたびのイベントも、開幕の拍手とともにスタートです。
で、正午までの一時間のうちに、耽美文藝誌『薔薇窗』最新刊と、これも新刊の『白鳥記(はくてうき)』が一部ずつ売れ、良い兆しを見せたものの、その後、いくにんものひとたちに、立ち止まって手にしてもらった割に、お買い上げまでにはいたりませんでした。
とはいえ、手にしてもらっただけでも、当サイト「ヴィオラ☆マニア」のURLを記した案内状を、手渡せる良いきっかけにはなりました。
また、櫂さんがお手伝いにはいってくれたおかげで、いつもより、ゆっくり他のサークルを廻ることができ、それとの商品の比較から、もともと、書店やサイトでの販売に主眼をおいて展開しているといった都合上、「書肆菫礼荘の本」の価格は、どこか、このイベントでの適正価格? をオーバーしたものであると再認識。
そんななか、イベント用に供した、いわゆる「蛇腹本」も、しょせんは、つけ焼き刃に過ぎないのかも!? と、このことを悲観。
郷に入りては郷に従え、、、
そんなわけで、次回のイベントでは、“郷に従”いつつも、書物であることの尊厳? を失わない、チープなのにゴーカな刊行物? を予定しています。
そんなこんなで、このたびのイベント、実いりは少なかったものの、実り多き一日となりました。

*画像、お隣席のかたからいただいた、手づくりケーキ。
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by viola-mania | 2008-02-10 21:39 | 雑感

告知。

自主制作漫画誌展示即売会 COMITIA83

日程:2008年 2月10日(日) 11:00〜15:30
場所:有明・東京ビッグサイト東4ホール
   (JR「大崎」orJR・地下鉄「新木場」〜りんかい線「国際展示場」下車8分)
   (JR「新橋」〜“ゆりかもめ”で約25分「国際展示場正門」下車2分)

スペースNo.に09a 書肆菫礼荘

↑こちらに出展しています。ぜひ、遊びに来てください。
また、当日は、耽美文藝誌「薔薇窗」17号(最新刊、先行販売)、蛇腹本「白鳥記(はくてうき)」(新刊)ほかを販売いたします。
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by viola-mania | 2008-02-03 12:43 | 告知