2007年 06月 10日 ( 1 )

玲瓏。

黴雨空(つゆぞら)がずりおちてくる マリアらの真紅にひらく十指の上に   
『水葬物語』

硝子工くちびる荒れて吹く壜に音楽のごとこもれる気泡   
『装飾楽句(カデンツア)』

冬の蓮沼よりひきあげて秤(はか)らるるイエスのむらさきの死の腕(かいな)   
『日本人霊歌』

青年期たちまち昏れて蛇屋にはむせびつつ花梗(くわかう)なす夏の蛇   
『水銀伝説』

こばみあふ心と肉よ一まいの彩硝子火のいろあせゆきぬ   
『緑色研究』

牀の花氈の花芯に臥していつはりを胎(やど)せしのみよとはにまをとめ   
『感幻楽』


歌人、塚本邦雄が亡くなったのは、「二○○五年六月九日、午後三時五十四分、呼吸不全のため」と「塚本邦雄年譜」には記されています。
あれから二年、塚本の好きだった泰山木は、ことしも変わらずひらいています。
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by viola-mania | 2007-06-10 07:38