2007年 05月 27日 ( 1 )

白狐。

好きな画家を、ひとり挙げよと問われれば、日本画の巨匠、菱田春草と答えますが、好きな画を、一つ挙げよと問われるなら、迷うことなく、下村観山の『白狐』と答えます。
とはいえ、こんな質問を受けたことは、一度もないので、自問自答? してみました。
ところで、我々が身近に接している動物といえば、犬や猫、はたまたイグアナですが(ナイナイ)、たとえば、犬好きか猫好きかで、そのひとの性質を判断したりすることが、ままあります。
ちなみに、犬好き? 猫好き? と問われれば、一応、猫好きと答えるけれど、とりたてて、猫に偏愛を感じたことはありません。
むしろ、犬でも猫でも、まして、狸などでは決してなく、狐にこころ惹かれるこの頃。
ところで、古く、物語のなかの狐は、妖術を用いてひとをかどわかしたり、実際にも、農家のニワトリなどを屠ることがあって、そのイメージや行動を鑑みると、忌むべき動物であるのかもしれません。
そんな狐について、いつか読んだあるひとの文章のなかに、面白いエピソードがあって、うろおぼえながら記してみると、


 狐は、用心深いケモノであり、画家であるそのひとが、狐の好物をいれた皿を用意し
 て、狐が来るのを待っていると、しばらく、近寄っては去り去っては近寄り、ついに
 食べてくれたということでした。
 それからというもの、毎日、陽が落ちる頃になると、狐は、そのひとのところへやっ
 て来るようになりました。
 狐は、そのひとのこころねに気づいてはいるものの、そのひとの姿を見ると去ってし
 まう。
 とはいえ、こんな画家と狐の交流は、狸の出没によって破られてしまうのでした。
 そのひとは、狐と狸のそれぞれに餌を用意してみるも、狐にそのことを伝えることは
 できない。
 それでも狐は毎日、陽が落ちる頃になるとやって来る。


とそんなことが書かれていました。
ずうずうしい狸とは逆に、狐は、野生の品格をつねに保っていて、誇り高い、けれど、一定の距離をおいて遠くから素知らぬ顔で見守っている人間に対しては、胸襟をひらくのでしょう。
なんとなく親近感を覚えつつ、ひとにもそうありたいと思うこの頃。。。
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by viola-mania | 2007-05-27 07:28