送盆。

夕風に薫る線香の匂いに、いまがお盆であることを、すっかり忘れていたことに気づき、何だか寂しくなりました。
オトナになると「夏休み」という概念が希薄になるからでしょうか? いやいや、それを唯一の楽しみとしているのは、存外、一般社会に棲息しているオトナと呼ばれる生物たちのほうかもしれません。
Tシャツに七部丈のパンツといった格好で、それを何分の一かに縮小したコドモの手を引くオトナの姿を見ると、「夏休み」という風物自体が、つくりものめいて感じられ、何だか不愉快な気分にさせられます。
とはいえ、こんな感慨を持つこと自体、オトナになり切れていない証拠でしょう。
だから、「終わらない夏」ということばが、「永遠の少年」というそれを喚起させるのは、自明の理(ことわり)であるのかもしれません。
さて、“線香の匂い”についで、鐘の音が聴こえてくると、その不可思議な光景に、目を見張らざるを得なくなりました。
「いったい、この習慣? は何ですか!?」
「あれ、イシカワさん、はじめてでしたっけ!?」
と近所の商店の娘さん(といって、たぶん、同世代)に気安く問われ、不可思議な習慣よりも、その娘さんの言動のほうに戸惑いながら、その光景を眺めていると、
「ご先祖さまを、こうやって送ってるんです」
なるほど、きょうは送り盆。
ところで、“娘さんの言動のほうに戸惑”うといったのは、こちらの性格のゆえか、長らく顔を見合わせていながら、あまり親しく話したことがなかったその娘さんを、いぶかしく感じていたことのあらわれであり、そんな娘さんに対する、こちらの驕りでもあるのでしょう。


 ひとは読み切りではなく、連載で見るようにしている。


とは、きのう交わした、親友への返答。
とはいえ、その連載がつまらなかった、、、ということもあります。
そんなわけで、長きに渡る“娘さん”の連載は、ここへきて、面白くなり始めた、、、といったところでしょうか。
「ありがとうございました」
と感謝の念を、その家のご先祖さまに伝えると、門灯のスイッチをONにしました。
誰かが、この家から、帰ってゆけるようにと、、、

*画像、もえぎさえこさんのブログ『関心空間』より、転載させていただいたことを附記します。
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by viola-mania | 2008-08-17 00:00 | 雑感


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