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驚愕。

30年を一つの周期として、その時代はやってきます。
たとえば、アール・デコに代表される1920年代の美の様式は、幾何学模様と流線型のなかに集約されているし、たとえば、MGMミュージカルに代表される1950年代の美の様式は、シネ・ミュージカルの豪奢なセットとジーン・ケリーの華麗なダンスのなかに集約されています。
そして、セルジュ・ルタンスに代表される1980年代の美の様式は、資生堂の花椿とアウトオブ資生堂のインウイといった二つのブランドのなかに集約され、まもなく迎える2010年代の「美の様式」に、その期待が高まるばかりです。
とはいえ、その時代に感じる「美の様式」は、あくまで独断であり、偏見です。
ところで、こんな“独断”と“偏見”を自らに許している美意識の基礎は、その少年期を過ごした、1981年から1985年の時代の風潮、つまり、モードのなかに築かれているといってもいい過ぎではありません。


 「風は光になりました。香りは粉になりました、インウイ」
 「嘘を言ってはいけませんわたくしの目を見て、インウイ」
 「女性の美しさは都市の一部です、インウイ」
 「彼女には影の演出者がついています、インウイ」
 「カガミの隅まで染めてしまいそう、インウイ」
 「なにかに向かって燃えていますか、インウイ」
 「人生は選択、インウイ」


1981年から1985年、セルジュ・ルタンスプロデュースによる『インウイ』(オードパルファム)のキャッチコピーは、 その商品のコンセプトによるものか、女性が女性であることを謳歌しているといった、その時代の風潮を反映させるもの。
でも、ブラウン管の向こうにある世界が、ひとりの少年に気づかせたものは、「耽美」ということばであり、自らをかたちづくる「美の様式」でした。

*インウイ:驚愕
驚愕。_d0004250_9281051.jpg

by viola-mania | 2008-06-22 08:47 | 雑感


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