横顔。

いつか誰かに、シブサワ(澁澤龍彦)ってどんなひと? と聞かれ、
「懐の広いひと」
と雑駁に応えたことがあったけれど、その際、つけ加えたかったことの一つに、
「シブサワの作品を愛好しないひとは、かつて美少年であったことのないひとだろうね」
との偏向がありました。
さて、きょうは、朝も早よから、“カナキン”へ“シブサワ”を観に行きました。
とくに最寄り駅ではない、「石川町」で降りると、これも、何ちゃら銀座の感がいなめない、元町の繁華街を抜け、「フランス山」を登り、「港の見える丘公園」に到着するや、
「ボー!!」
と汽笛が正午を報せました。
なるほど、“港が見える丘”だけのことはあります。
ところで、“カナキン”こと神奈川近代文学館を訪ねたのは、三年前に同館で催された、「三島由紀夫展」以来のことでしたが、あの日も、イギリス館の庭には薔薇がひらき、薫風が催しへの好奇を煽ったものでした。
さて、Tシャツの、ない襟を正すと、館内へ、、、
「一般、600円。学生のかたは、300円です」
ともぎりから少し離れた位置で、そういわれたとき、
「学生にも見えるのかなあ」
と襟を正すどころか、ラフ過ぎる格好に、さもありなんと合点がゆくのでした。
それから、ニ時間半。
本展の編集委員、高橋睦郎さんのことばどおり、
「すっかり、もてなしを受けてしまった」
つまり、もてなしの極意? とは、高橋さんいわく、時間を忘れさせることであり、そのサロンの主(あるじ)、シブサワのイノセントな魂に感応するひとときでもあるのでしょう。
だから、あらためて、シブサワってどんなひと? と聞かれれば、
「もてなしのひと」
と実感を込めて応えることができます。
そして、帰りのバスで乗合いになった美少年こそが、自らの思念(パンセ)の具現であることを、折りに触れて見かけるその美少年の横顔に確信しました。
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by viola-mania | 2008-06-08 06:50 | 雑感


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