諧和。

束ねた新聞紙を物置きに片付けると、雨上がりの地面に青い翅(はね)が落ちていました。
拾い上げて子細に眺めると、すでに、からだは廃墟と化し、二三匹のアリが、青い翅を摘んだ指先に立ち惑っています。
青い翅の持ち主は、ギボウシの葉がひらき始めるころになると、飛来するアゲハチョウで、「ミカド」という大層な名をその種目に冠した高雅な一羽。
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逡巡ののち、手にした花鋏(はなばさみ)で、廃墟の両翼を切断すると、手のひらには、青い翅だけが、空気の重さで残されました。
見上げた軒先には、ジャスミンがわらわらと繁り、その向こうに覗く青空が、どこか精彩を欠いて見えるのは、この手のひらにたたずむ青い翅のせいかしら。
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書斎に戻ると、水盤にぎっしりひらいたツツジの花が、死んだような精気に漲っていました。
五月のゆうまぐれ、そんな、静物たちの諧和を聞いた気がして、、、
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*画像、上、ミカドアゲハの翅、央、ジャスミン、下、ツツジ。
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by viola-mania | 2008-05-04 00:00 | 雑感


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