ヒトラーの命令により、解放されたムッソリーニは、その傀儡政権ともいえる、社会主義政権を樹立するべく、ローマのサロという町に、彼の支配下となる政府を置きました。
607日間に渡り存在したその国家は、その町の名に因み「サロ共和国」と呼ばれました。 正確には、1943年9月から1945年4月までの1年8か月、抵抗活動(パルチザン)により、ムッソリーニが斃(たお)れるまでの間、その幻のような国家は存在したのです。 ところで、その原題を「salo'」とする映画に、P.P.パゾリーニの『ソドムの市』がありますが、その原作は、いわずとも知れた、ド・サドの『ソドムの百二十日』であり、たぶん、パゾリーニは、期間限定で存在した館と国家に着目し、この映画の設定を、戦時下に存在した、“幻のような国家”に置き換えたのでしょう。 ちなみに、サドの邦訳は、澁澤龍彦により「序文」のみ抄訳されていますが、そこまで読んで先が読めないもどかしさから、佐藤晴夫による完訳を買って読んだのは、かれこれ十年以上も前のこと。 ふと、何かの拍子に書架から取り出し、再読してみたところ、かつて、澁澤訳によるそれを読んだときの昂揚と、佐藤訳による「第一部」以降を読み継いだときの幻惑が、ふたたびよみがえるのを感じました。 で、ジュネについで、サドが好きな自らの思考は、やはり、破綻しているとしかいいようがなく、、、 とはいえ、自らが酒に酔っていては酒造が勤まらないように、サドもまた、、、と思うと、何だかサドの思考が、見え透いてはくるものの、読者に昂揚を与え、幻惑させるその筆致には、やはり、屈服せざるを得ません。 そのうち、P.P.パゾリーニの『ソドムの市』についても、何か書いてみたいと思います。
by viola-mania
| 2007-12-02 10:50
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いい匂いのするペエジ
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