「美意識」ということばから、思い浮ぶひとを、三にん挙げろ。
と問われれば、ルキノ・ヴィスコンティ、セルジュ・ルタンス、そして、山口小夜子と応えるだろう。 その山口小夜子さんが、14日、急逝した。 小夜子さんには、自演の「朗読会」の折り、一度だけ、お目にかかったことがある。 奇しくも、寺山修司が亡くなった、五月に、その一夜限りの「朗読会」は催された。 その夜、小夜子さんが朗読したのは、 ガルシア・マルケス『百年の孤独』 だった。 小さなホールの最前列で見た小夜子さんは、この世のものとは思えないほどの、美しさと神秘をまとっていた。 数メートルと離れていないところに立っていながらも、遠い、星のような存在だった。 聖母マリアが、地上の花、すなわち、“星”の象徴であるように、小夜子さんの存在も、また、、、否、小夜子さんを、聖母マリアとたとえるには、少し、無理がある。 とはいえ、「美」の象徴であったことは確か、、、厳密にいえば、幼い頃に見た、資生堂「インウイ」のCMにおける、セルジュ・ルタンスとのコラボレイションによって、その「美意識」は目覚めたのだから、、、 「黒は、ひとを美しく見せる」という言説である。 形をとらないことによって、私はすべての形になった。 これは、「不動の旅人」と題された、ルタンスの「ことば」、、、 透徹した美意識をあらわす色としてある、ルタンスの「黒」。 「ことば」がもたらすイマージュの侵犯と、「黒」の何ものにも犯されることのない純潔。 ルタンスと共犯者であった、山口小夜子の宇宙は、その黒髪と黒い瞳のなかに、集約することのできる、日本民族の血統によるもであったと、いまさらながら、嘆息した。 合掌。
by viola-mania
| 2007-08-26 10:36
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いい匂いのするペエジ
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