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野分。

台風5号は、現在、日本海の上空を北上しているとのこと、、、
そのせいか、朝から風が強い。
家中の窓を全開にして、風の通り道をつくる。
木々に覆われた、ちっぽけな我が家を、通り抜ける風が、微風となってそよいでいる。


 野分例の年よりもおどろおどろしく 
 またかくさわがしき野分にこそあはざりつれ


光源氏と葵の上との間に生まれた夕霧が、中宮の御所で、父の持った後妻、つまり、継母である紫の上と、遭遇する場面が印象的な「野分」の巻は、『源氏物語』のなかでも、「柏木」、「横笛」の巻についで、好きな巻。


 御屏風も、風のいたう吹きければ、押し畳み寄せたるに、見通しあらはなる廂の御座
 (おまし)に居給へる人、物に紛るべくもあらず、気高く清らに、さと打匂ふ心地し
 て、春の曙の霞の間(ま)より、おもしろき樺櫻の咲き乱れたるを見る心地する。


キーを打つ指先も陶然。。。
継母だとは知らずに見た、紫の上の美しさに、ハッと息をのむ、夕霧少年の動揺が、ありありと浮ぶ一節。
さて、その「野分」という表現が、このところ、熟読? している、江島厚のホモ小説のなかにも出てきて、この匿名作家の教養の深さ? を知らされた。


 熱い息が、俺の叢を野分のように襲い、それさえもガツンと脳天に響く。


というもの。
何だか嬉しくなった。

画像、野分の風に煽られる。
野分。_d0004250_7422391.jpg

by viola-mania | 2007-08-05 07:42


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