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越人。

芭蕉研究の祖、エバラタイゾウの『芭蕉・去来』は、俳人、松尾芭蕉と、その門下、向井去来について書かれた名著ですが、書架の一角には、『芭蕉全集』はもちろんのこと、「奥の細道」や「甲子吟行(野ざらし紀行)」のはいった『芭蕉紀行全集』が、その『芭蕉・去来』とともに並び、ついで、近所の古書肆で見つけた、『芭蕉七部集定本』をそこに収めれば、最低限、芭蕉は網羅? したことになるといえるでしょう。
で、その“七部集”をひもときながら、気になる句にしるしをつけていったところ、もっとも多く選んだ句の作者に、「越人」なる人物が上がりました。
そんなわけで、本書巻末にある「七部集作者列伝」で、「越人」なる人物を調べてみたところ、


 越人 エツジン
 杜國の扶助を受け、蕉門に帰す。


とあり、杜國の、


 色深き男猫ひとつを捨かねて


一読、気になった句であることに思いいたりました。


 六月の汗ぬくひ居る臺(ウテナ)哉

 人去ていまた御坐(オマシ)の匂ひける

 疱瘡(イモ)顔の透とほる程歯の白き

 念者法師は秋のあきかせ


上記は、“七部集”から、“もっとも多く選んだ”「越人」の句なのですが、「疱瘡(イモ)顔の〜」は、いまの嗜好にぴったりとくる句で、ドッキリ!! しました。
そして、「念者法師〜」に、あーなるほど、そーいうことか、と選んだこちらの嗜好と「越人」の趣味? の一致を見たというわけです。


 疱瘡(イモ)顔の透とほる程歯の白き   越人
越人。_d0004250_1162287.jpg

by viola-mania | 2007-04-22 11:08


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