拙著『緋色の獣』所収、「獣園III」以来、執筆に向かっています。
ちなみに、個人誌『薔薇窗』15号に寄せた、拙作「倭をぐな」は、昨年九月の脱稿。 そんなわけで、この八ヶ月あまり、単行本や雑誌は刊行したにせよ、作品は、二篇しか書けていないという、何とも情けない有様。 まあ、書けなかった原因は、ひとまずおくとして、この一週間あまり、家にいる時間は、書斎のデスクに向かっているか、本を読んでいるかして過ごしています。 思索のため、或いは、思考のきっかけとして、読書はかかせないものだと、あるかたにいわれ、なるほど、その通りだと思いながら、ただいま『ゲシタルト心理学』なる、戦後、間もない頃に刊行された「アテネ新書」のうちの一冊を読んでいます。 そのなかに、 セミしぐれが一時ぱったり止むとき、急にヒッソリするとか、シーンとなるとかいう 趣きが体験される。 「静かさ」が感じられる。——いや、イプセン作『われら死者の眼ざめたとき』の中 のルーベック教授のように、「静かさを聞くことができますネ」という方が適切かも 知れない。 という一文があって、芭蕉の「岩にしみいる蝉の声」とは、“静かさを聞く”ことにほかならないものであると、あらためて感じました。 「静かさ」といえば、周りを雑木に囲まれた我が家も、昼間のうちは、鳥のさえずりなど、姦しいのですが、夜間ともなれば、一転、静かというのを通り越して、恐ろしいくらいな「静かさ」です。 とはいえ、興が乗り、執筆が夜間に及ぶときなどは、かえって好都合? で、平面に存在するあちらの世界とその世界を構築しているこちらの世界とが、同じ一つの面でつながっているかの錯覚を起こすことが、ままあります。 さて、執筆を終え、居間の畳の上に寝転ぶと、ようやく、こちらの時間が流れ始めます。 すると、柱時計の鐘が鳴り、いまを刻んでいることの実感が得られるというわけです。 ところで、このたびの作品、まもなく脱稿です。 どんなカタチで発表するかは、未定ですが、新たなるコンビネーションにご期待ください。 とだけ、いっておきましょう。。。
by viola-mania
| 2007-04-15 00:09
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いい匂いのするペエジ
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