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禁領。

マンディアルグやクロソウスキーが、変名でポルノを書いていたという話は、話だけに
とどまらず、残された作品から顕著ですが、我が国においても、龍之介や荷風といった文豪による、艶書の存在が伝えられています。
ところで、澁澤龍彦が、1950年代にフランスで構想された、変名によるポルノ叢書の潜みに倣って、「禁断叢書」という書名を推し、これに抗したことがありました。
装釘家、菊池信義による、美麗な造本のそれらは、全四冊。
その後、文庫版となった「禁断叢書」は、でも、短い本文のゆえか薄く、戦後まもなく出回った、地下本の類いを彷佛とさせる安っぽさ。
或いは、その“安っぽさ”が、美点であるのかもしれませんが、、、
それはさておき、“変名”です。
かつて、「砂川たかね」という変名で、ポルノを書いていた時期がありました。
同性・異性の孰れを問わず、短いものから長いものまで、、、くふっ。
ポルノの定義? は、「やまなし、おちなし、いみなし」、つまり、「やおい」であることが良しとされ、かつ、“ヌケる”ことが必須。
とはいいじょう、マンディアルグやクロソウスキーのような、硬質、或いは、形而上学的なポルノを至上としていたせいか、そこに、一種のユートピアを求めていたような気がします。
ポルノグラフィー研究家のスティーヴン・マーカスは、

 ポルノグラフィックな幻想が、とくにフィクションの形であらわれるとき、それがも
 っとも近づきやすい文学形式はユートピア的幻想である。

といっていますが、なるほど、この「ポルノトピア」こそが、すべての父体? であるのかもしれません。
ところで、サイト上に、この「ポルノトピア」を開設してみました。
作品は、ウェブであるという手前、ごく短かめの端書きにとどめましたが、この「箇条書き」こそが、ポルノの基本かとも、、、
とはいえ、ポルノ、おおやけにできない、或いは、しないという床しさ? から、書棚の奥の辺り(ヒント)を探ってみてください。

 小さき暗き五分咲きの森 抽出(ひきだし)のポルノめく書におよぶ花冷え   章人
禁領。_d0004250_112238.jpg

by viola-mania | 2006-10-14 01:16


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