電車のダイヤが乱れています。
いつもなら、一つ先の駅で、折り返し始発運転をする電車も遅れているもよう。 とりあえず、一つ先の駅へ、、、 でも、車内はいつもと同じ景色。 向かいの座席では、いつもの少年が、いつものように居眠りをしています。 この少年、、、いつか、カレのことを日記に綴っているので、ひもといてみましょう。 満員電車が苦手な(というより、乗れない)ボクは、例えば、その時間帯に仕事へゆかなければならない場合、一つ 先の駅で始発電車に乗り、約1時間かけて街へ出ています。 きょうは、仕事場へ始発電車に乗ってゆきました。 一つ先の駅へ向かう車内は、逗子開成、中学・高校の男子生徒たちで溢れています。 到着したあと、ホームをあまり歩かずに連絡口へ出たい、と考えているボクのつく座席は、だいたい決まってい て、その向かいの座席にも、決まった男の子がついています。 もちろん、互いにあいさつをするといったことはありませんし、カレはたいがい居眠りをしているか、参考書のよ うなものを読んでいるかして、ボクには無関心のようです。 まあ、当然といえば当然ですが、、、 でも、ボクは、ほとんど男子生徒たちの貸し切りともいえる、その車両の座席で、それゆえか、ソファにでもつい ているかのようにくつろいでいるカレの姿を眺めるのが好きです。 そこには、17歳のカレの姿があるからです。 カレの年令を断定することはできませんが、思い込むのは勝手です。。。 ボクは、冬ざれた山並やその向こうに臨む青い空を眺めるような心持ちで、カレを眺めています。 電車が駅に到着しました。 ボクは、折り返し上り電車となる座席についたまま、カレを見送ります。 ボクの前を過ぎてゆく男子生徒たちに紛れて、いつしかカレの姿も見えなくなりました。 そして、カレがついていた座席の足下には、青い手袋が落ちていました。 ボクは、それを拾うと、カレの姿を探しましたが、すでに降車したあとのようでした。 また乗り合わせるのだから、、、と思い、ボクは、その手袋を重ねてたたみカバンにしまいました。 カバンのなかから、カレの元気な鼓動が聴こえてくるようです。 日記には、「青い魂」とタイトルがついています。 その後、3日ほどして乗り合わせた少年の手には新しい手袋が、、、 しかも、青い手袋でした。 カバンのなかには渡しそびれた手袋が残されました。 ふと、そんな冬のある日のことが、初夏の車窓越しにたたずむ少年の姿を眺めているうち、思い出されました。 律儀に廻りくる季節。 でも、いつか、その車窓越しに少年をいれた同じ景色を眺められなくなることを思うと、少しせつなくなりました。
by viola-mania
| 2005-04-25 20:24
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いい匂いのするペエジ
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